◆タカテーン・チョンラダー+ラムシンで新たな化学反応が起こるでしょうか?
「ようやくか」というのが正直な感想です。
Grammy Goldから放たれた新たな刺客、それがこのラムシン・スタイルによるタカテーン・チョンラダーの新曲でした。
タカテーンとペット・サハラットというビッグカップルの交際が伝えられたのが、今からちょうど1年前。その後2人は無事結婚しました。
タイ音楽ファンとしては、歌手と作家やプロデューサーとしても才能がある2人がくっつけば、期待したくなるのがその2人が組んだ新たな展開でしょう。
しかし、YouTubeやFacebookなどではペットが弾くギターをバックに歌うタカテーンが見られたりしたのですが、タカテーンはGrammy Gold、ペットはトップライン・ダイアモンドという別々の会社に所属していた為、オフィシャルでのコラボレーションというのはなかなか実現しませんでした。
◆SNSでは2人の仲むつまじい写真が今も度々アップされています。
やはり別会社だといろいろ障害があって難しいのか、と思っていた時に入って来た今回の情報。それを知った時に出て来た素直な感想が冒頭の言葉でした。
ただ、大ヒットメーカーvsトップ歌手という組み合わせだけあって、完成した曲は当然ながらクオリティーの高いものになりました。
◆ตั๊กแตน ชลดา(タカテーン・チョンラダー)/ไหง่ง่อง(ガイ・ゴーン)
作詞・作曲がペット・サハラット、アレンジはプレーウプラーウ・セントーンの「プア・パイ」やモッデーン・ヂラーポンの「ノーン・トゥーン・クワーイ」などのアレンジを担当してきたテーク・コンサーン先生とペットという、トップラインから数々のヒット曲を放って来たコンビなので、サウンドはトップライン臭が充満しています。
それにつられてか、MVの作りもコンサート+オカマというよくトップラインが使っているパターンになっています。
ラムシンはダンスミュージックなので、定型があり、この曲もそれに則っているので、新鮮味には欠けますが、タカテーンが歌っているという意外性はありますし、個人的には結構好きです。
ちなみにタイトルの「ガイ・ゴーン(ไหง่ง่อง)」は、イサーン語で「巻き上がる粉塵」という意味です。
ラムシンのコンサートは空き地で、地面は舗装されていない所でやる事が多々あります。そんな場所で皆が踊っていると、粉塵が巻き起こって大変なことになります。そこから、このタイトルが付けられたのではないでしょうか。
結婚後も旧来のスロー中心の歌謡路線を続けていた為、新しいファンを取り込むことが出来なくなっていたタカテーンにとっては、この曲によってこれまでとはまた違う層のファンが増えるのではないかという期待もあります。でもそれは、この路線を継続していくというのが大前提ですが。
出来ればヒットしてほしいと思うものの、この曲がヒットするかどうかという事についてはひとつ不安な事があります。それは、Grammy Goldからリリースされている曲なので、他の歌手がステージで歌いづらいという事です。
もしGrammyに断りも無くステージで歌ったりすると、Grammyから使用料の取立て、あるいは勝手に歌ったという警告が来る可能性があるからです。
そういった理由から、今ルークトゥンモーラムのコンサートでGrammyの曲がカヴァーされる機会というのは、決して無い訳ではありませんが、かなり少なくなっているのが実情です。
◆と思っていたら、モーラム楽団「ラビアップ・ワータシン」がさっそく歌っていました
しかし、ラムシンに限らずタイでのヒットの法則は、どれだけ多くの人にカヴァーされるかというのが、重要な要素になっています。
沢山の人に歌ってもらった方がよりヒットに近づきますが、それが出来ないと多くの人の耳に届く可能性も奪われてしまいます。
せっかく良い曲なので、ぜひヒットしてこの新しいスタイルのタカテーン・チョンラダーが出来るだけ長く続いてほしいと願ってやみません。