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2017年4月26日水曜日

【ピックアップ・シンガー】正統モーラムを受け継ぐタッサポーン・トーンヂャンの底力を見た日

◆タッサポーン・トーンヂャン(ทัศพร ทองจันทร์)

モーラムという「言葉」は頻繁に聞く事ができても、モーラムという「音楽」を聴くことは難しくなっている、昨今のタイ音楽事情。

モーラム楽団のコンサートに行っても、歌われているのはほとんどがルークトゥンであったりポップスであったりするというのが実情です。

理由は単純で、その方が客にウケるからなんですが・・・。それと、モーラムは鍛錬が必要なので、歌える人が限られているというのもあります。でも、それではモーラムが好きな人間としては、それではちょっと寂しい。

そんな不満を少し解消してくれたのが、3月に観たタッサポーン・トーンヂャンのコンサートでした。

昨年(2016年)10月13日以降、それまで一緒に行動していたゴン・フアイライとは別々に活動するようになり(事務所は同じなので、仲違いした訳ではありません)、歌う場がすっかり少なくなってしまっていたタッサポーン。

コンサートが行われた3月20日は、自分としては翌日からイサーン~ラオスへ行かなければならなかったので、どこにも行きたくなかったのですが、彼女の単独コンサートを観るのは1年ぶりという事もありましたので、無理やり調整しました。

しかも場所がラヨーン。この地域は経験上、行けても帰りのタクシーなどがない場所であることは充分知っていたのでかなり躊躇しましたが、帰りはタッサポーンに送ってもらえるようお願いして、ラヨーンへと向かいました。

◆タッサポーンと当日ゲストだった同じ事務所Sound Me Heangの後輩歌手、モス・ラッサミー(左)。


1月にラヨーンに行った際に利用した、バンナーのロットゥー乗り場が警察により移転させられて、行くのにもすったもんだしてしまいましたが、何とかタッサポーン達がステージに上がる直前に到着することが出来ました。

1年前オームヤイで彼女のコンサートを観た時はバックはカラオケでしたが、今回はバックバンドを引き連れてのステージ。それだけでも期待が高まります。

あまりに久しぶりなので、どんなプログラムを組んでいるのか皆目見当が付きませんでしたが、冒頭のタッサポーンの一節に、それまでの苦労と次の日からの事は一気に吹き飛びましたね。

それが1本目の動画なんですが、これこそモーラム歌手タッサポーン・トーンヂャンの真の実力と思わせられる、見事な歌、そしてラムでした。

こういうのはなかなか、カラオケをバックにしたコンサートでは聴く事ができませんからね。

◆タッサポーン・トーンヂャン/ラムプルーン・ワーンヂャオポー・パラーンチャイ@ラヨーン-1(2017年3月20日)



間髪入れず、自身のオリジナル曲「キットホート・プーラーン・コン」からのモーラムと、畳み掛けるようなモーラム・メドレー。これを聴く事ができただけでも、ラヨーンまで来た甲斐があったというものです。





◆タッサポーン・トーンヂャン/モーラム・メドレー@ラヨーン-2(2017年3月20日)



ゴンと活動していたときは、ゴンの休憩を兼ねての場つなぎ的役割だったので、モーラムはおろかオリジナルの曲も歌っていなかったタッサポーンでしたが、ようやく自分がメインのステージが出来るという喜びが、コンサートの間溢れ出ていたように思います。

それと、やっぱり彼女が一番歌いたいのは流行曲のカヴァーではなく、師であるカムグン・トーンヂャンから学んだモーラムだと思うんですよね。

ただ、今のタイでそれが出来る場が無いのが残念な所です。

また、この日もう一つの大きな目的だったので、彼女のオリジナル曲「タウェン・ボ・クーイ・トゥア」を聴くことでした。

昨年この曲がリリースされて以降、この歌をステージで聴くタイミングを逸してしまっていたので、この日はなんとしてでもビデオに収めたいと意気込んでいました。

それが達成できただけでも意味があった、今回のラヨーン行きでした。

◆タッサポーン・トーンヂャン/タウェン・ボ・クーイ・トゥア@ラヨーン-3(2017年3月20日)



なお、この日コンサートの合間に新曲が間もなくリリースされることを話していたタッサポーンですが、その曲「ポー・シ・ペン・フェーン・ダイ・ボ」は4月9日にYouTubeで公開されました。

前作とはまた違った、アップテンポの曲になっていて、それまでの曲では聴く事が出来なかったタッサポーンの新たな一面が垣間見れる曲になっています。

ちなみに、アレンジを担当しているのはサワット・サーラカーム先生です。

◆タッサポーン・トーヂャン/ポー・シ・ペン・フェーン・ダイ・ボ



間違いなく実力はあるのに、それを発揮できる場が無いというのは、何とも歯がゆい状態です。

タイでたくさんの歌手のコンサートを観ていると、長いスパンでフォロー出来る歌手は限られてきます。それは趣味や趣向もありますが、自分にとってタッサポーンは長く追いかけて来た数少ない、大切な存在の歌手の1人です。

その彼女が単に人気が出るというだけでなく、真の力が発揮できる場が早く出来る事を願ってやみません。

2017年4月16日日曜日

【ディスク・ライブラリー#18】MP3「イサーン・インディー」:タイ音楽の新しい世界へ導いてくれるコンピレーション

【Artist】รวมศิลปิน(Various Artist)

【Title】อีสานอินดี้(イサーン・インディー)

【Release Date】22 ธ.ค. 2559(2016年12月22日)



今、タイで人気のある曲の多くはインディーから生まれている事は、このブログで何度か書かせていただいていますし、タイランドハイパーリンクスのコラムでも書かせていただきました。

◆音楽天国タイランド「第28回 ヒット曲はインディーズから生まれる。今、そしてこれからのルークトゥンモーラム注目の歌手たち」

ただ、インディーの歌手達のほとんどが曲単位でYouTubeに公開したり、ダウンロード配信だけをしていたりと、CDなどをリリースしていませんので、タイ国外にお住まいの方には状況がいまいち分かり難いかもしれません。

そんなインディーの人気曲を中心にまとめたMP3が発売されました。タイトルはずばり「イサーン・インディー」。イサーンのインディーシーンが一望できるアルバムになっています。

◆「イサーン・インディー」収録曲。


このインディーシーンを分かりやすく伝えるとするならば、日本でもかつて一世を風靡したフォークソングのシーンに近いのではないでしょうか。つまり、タイの歌手達も自分の手で自分の音楽を作るようになってきたという事です。

日本では当たり前かも知れませんが、タイではまだシンガーソングライターというのは少なく、歌う人と曲や詞を作る人というのは基本的に別です。そうなると自分の歌いたい歌が100%歌えないという事になってしまいます。

そういう状況がこのインディー歌手たちの台頭で少しずつ変わってきた。インディーシーンというのはそんなルークトゥン・モーラムの重要な過渡期であると言えます。

そのインディーのキーパーソンたちの歌が収められたのが、このMP3です。

しかし、全部が全部最新の曲ではなく、50曲入りという事とGrammy Goldから発売されているという事もあって、少し前のGrammyの若手イサーン歌手の曲なども含まれています。

なので、ここでは全部の曲ではなく、現在のインディーシーンを理解する上で特に重要な歌手のみを取り上げたいと思います。

まずは、イサーンインディーの中でも特に重要な歌手であるアーム・チュティマーです。

彼女は女性であるというだけでなく、まだ17歳(アディート・クーイ・パンを作った時は16歳)という意味でも、その存在を知った時は衝撃を受けました。

さらにそのソングライティングのセンスを歌唱力も、沢山いるインディー歌手の中でもダントツと言えます。今、大ヒット中のラムヤイ・ハイトーンカムの曲「プーサオ・カーロッ」もアームの手によるものです。

一歌手としてだけでなく、作家としても将来楽しみな存在です。

【Tr.1】อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)/อดีตเคยพัง(アディート・クーイ・パン)


次のイート・スパゴンについては、詳細な事は分からないのですが、この「モーン・バイ・ガオ(古びた枕)」のYouTube再生回数は、4/16の時点で7000万回に達しようとしています。

ギター1本のみをバックに歌われる、最愛の人を亡くした悲しみを歌っているこの歌。イサーン・インディーの中でも、名曲の1つと言えるでしょう。

【Tr.2】อี๊ด ศุภกร(イート・スパゴン)/หมอนใบเก่า(モーン・バイ・ガオ)


メー・ヂラーポンについても、まだ詳細が分からないのですが、この歌「プーサオ・ガオ(かつての恋人)」は曲の良さもあり、人気の高い曲です。

1月下旬に彼女が生で歌うのを聴く機会があったのですが、歌手としてのメーはまだまだ未知数といった所でしょうか。

【Tr.3】เมย์ จิราพร(メー・ヂラーポン)/ผู้สาวเก่า(プーサオ・ガオ)


ビックバイク・サーイラム(愛称:アーム)は、イサーン・インディーの歌手の中でも特に注目している一人です。

彼に最初に会ったのは1年近く前になりますが、その頃から結構ファンも多かったので、この人気もうなずけます。

歌詞ヴァージョンの動画は既に9000万回を超え、まもなく1億回に達しようという勢いです。

ここでは2月にランシットで行われた彼のライブ映像を。

【Tr.5】บิ๊กไบค์ สายลำ(ビックバイク・サーイラム)/กะฮักคือเก่า(ガ・ハック・クー・ガオ)



「クー・フェート」というのはタイ語で双子を意味する言葉です。

クー・フェート・オーエーはオーとエー2人の男性の双子デュオの事で、MVをご覧いただいてもお分かりのように、2人ともそっくりです(どちらがオーで、どちらがエーかは分かりませんw)。

顔だけでなく声もそっくりで、2人で交互に歌っているのですが、音だけ聴いているといつ変わったのか全く分かりませんね。

【Tr.6】คู่แฝดโอเอ(クー・フェート・オーエー)/ไม้อ่อยไฟ(マイ・オーイ・ファイ)



ボーイ・パノムプライの曲「ステータス・トゥーク・ティン」は映画「タイ・バーン・ザ・シリーズ」の為に作られた曲です。

歌詞ヴァージョンの動画は既に1億回の再生回数を超えています。

ただ、このボーイ、あまりコンサートなどはやっていないようで、バンコクでもまだお目にかかったことはありません。この曲だけでなく、他にも良い曲を歌っていますし、歌もなかなかなものなので、ぜひもっと積極的にコンサートをやってほしいですね。

【Tr.9】บอย พนมไพร(ボーイ・パノムプライ)/สเตตัสถืกถิ่ม(ステータス・トゥーク・ティン)



イサーン・インディーの歌手の中でもいち早くバンコク進出を遂げたのが、次のター・トーヂョーウォーです(ターは愛称、トーヂョーウォーは県外という意味)。

2月にペット・サハラットとの共演コンサートがあったのですが、実はその時まで誰だか理解していなくて、意外に人気あるんだなぁと人事のように思っていました(笑)。意外どころじゃなくて、大人気だったんですね。コンサートでも色んな歌手に歌われている定番曲になっています。

オフィシャルの動画は4/16現在で再生回数9500万回まできていますので、1億回に達するのも時間の問題でしょう。

この動画はその2月の時のライブです。

【Tr.10】ต้าร์ ตจว(ター・トーヂョーウォー)/แผ่นดินไหวในใจอ้าย(ペンディンワイ・ナイ・ヂャイ・アーイ)


マッキーはサワット・サーラカム先生に師事していた歌手で、偶然サワット先生のスタジオ兼ご自宅で会って以降、なんどか顔を合わせたことがあります。

3月にもラヨーンでのタッサポーン・トーンヂャンのコンサートに来ていて、その時バックステージでは歌わないと言っていたのですが、結局ステージに上がり、しかも一番声援が多かったという、甘いマスク故に女性には非常に人気の高い歌手です。

ただ、イケメンというだけでなく音楽的な才能もあって、この歌はマッキー自身の作詞・作曲の曲です。アレンジはサワット先生。

【Tr.14】แม็คกี้ ฤทธิศร(マッキー・ルッティソン)/สิบ่ขวางทางฮัก(シ・ボ・クワーン・ターン・ハック)



それまでメジャーにしか意識が行っていなかった自分が、インディーに注目するようになったキッカケを作ってくれた歌手がこのダーオ・チャリターです。

最近はバンコクに来る機会も減ってしまい、しばらく会うことが出来ていませんが(まだ学生なので仕方ありません)、今でもダーオの歌を聴く度にその才能に聴き惚れますね。

この歌はペット・サハラットの曲のカヴァーです。

【Tr.23】ดาว ชลิตา(ダーオ・チャリター)/ฆ่าให้ตายน้องกะฮัก(カー・ハイ・ターイ・ノーン・ガ・ハック)



最後にダーオと同じく、自分の意識を大きく変えさせてくれた歌手の1人、タッサポーン・トーンヂャンです。

今にして思えば、ダーオとタッサポーンの2人がドークヂャーン・バントゥンシンというモーラム楽団で歌っていたなんて、信じられませんね。

このMP3に収録された「タウェン・ボ・クーイ・トゥア(太陽は裏切らない)」はとても良い曲でしたし、彼女も自信があったようですが、残念ながら思ったほどの結果は出なかったようです。

そんな訳で、今度はアップテンポの新曲を公開したばかりのタッサポーン。

実力は間違いないので、あとは良い曲に巡り会えるかが彼女にとっての課題ではないでしょうか。

動画は3月20日、ラヨーンでのタッサポーンのコンサートからのものです。

【Tr.36】ทัศพร ทองจันทร์(タッサポーン・トーンヂャン)/ตะเว็นบ่เคยตั๋ว(タウェン・ボ・クーイ・トゥア)



本当は今大ヒット中の「カム・ペーン」(セック・チュムペー)と「プーサオ・カーロッ」が入っていれば完璧だったのですが、それは間もなく発売される「イサーン・インディー2」に収録されているので、ご安心を。

インディー歌手台頭は、歌手自身が自分で曲を作るようになった(全部が全部ではありませんが)というだけでなく、メジャー主体のルークトゥンモーラム業界に大きな変化をもたらしたという意味でも、重要な出来事です。

この状況はこれからもしばらく続くものと思われます。

2016年12月3日土曜日

【ルークトゥンモーラム通信】タッサポーン・トーンヂャンの新曲「タウェン・ボ・クーイ・トゥア」のMVがついに公開!

◆タッサポーン・トーンヂャン@セーラプーム、ローイエット(2016年10月22日)


4ヶ月前に音源が公開されていた、タッサポーン・トーンヂャンの新曲「タウェン・ボ・クーイ・トゥア(太陽は裏切らない)」。

そのミュージック・ビデオがようやく完成し、12月1日にYouTubeで公開されました。

撮影は9月にサコンナコンで既にされていましたが、編集などに時間がかかったようで、ローイエットでタッサポーンに会った時も、「いろいろ問題があって」と、完成が遅れているという事を言っていました。

しかし、待った甲斐もあって、予想以上の出来ばえです。

映像も綺麗だし、タッサポーンの迫真の演技も見ものです。

既に、音源ヴァージョンは再生回数100万回を超えていますので、このMV公開を機に、さらにたくさんの人に聴いてもらえるようになることを、切に願っています。


◆ทัศพร ทองจันทร์(タッサポーン・トーンヂャン)/ตะเว็นบ่เคยตั๋ว(タウェン・ボ・クーイ・トゥア)



この歌は既にタッサポーンはステージで歌っているようですが、実はまだ自分はライブでこの歌を聴いたことがありません。

タッサポーンには何度も会っているのに、なかなか聴く機会に恵まれなくて・・・。

そんな訳で、早くこの曲をライブで聴きたいのですが、残念ながらタッサポーンは12月5~19日まで日本に行くため、タイを離れます。

ですので、彼女の生歌でこの曲を聴けるのは、まだもう少し先になりそうです。

2016年10月30日日曜日

【ディープ・イサーン・ツアー#1】タッサポーン・トーンヂャンの故郷を訪ねて@ローイエット(2)

◆タムブンの準備をするタッサポーンとバーン・トーンヂャンの人たち


引き続き、タッサポーン・トーンヂャンを訪ねてローイエットへ行った時の話の続きです。

【ディープ・イサーン・ツアー#1】タッサポーン・トーンヂャンの故郷を訪ねて@ローイエット(1)


翌22日は朝8時にタッサポーンが車で僕を宿まで迎えに来てくれました(歌手に迎えに来させる素人って、どんな分際なんだかw)。

彼女の運転する車で早速バーンノーングンのバーン・トーンヂャンへと向かいます。

車の内ではこれからタムブンの事など話してくれたタッサポーンなんですが、その時歌を1曲聴かせてくれました。歌ってくれたのが、先日のプミポン国王に捧げる歌特集で取り上げたクルー・サラー作の曲「ラオ・スー・ラーン・ファン」でした。

たぶんこの歌をタッサポーンが人前で歌うのは初めてのはずです。しかも、聴いているのは自分ひとりという贅沢な状況。

さらに、朝早くに、しかも車を運転しながらにも関わらず、その歌声の良さと音の確かさに、彼女の歌唱力の高さを改めて実感しましたね。


◆ทัศพร ทองจันทร์(タッサポーン・トーンヂャン)/เล่าสู่หลานฟัง(ラオ・スー・ラーン・ファン)



ただ、裏話をしてしまうと、このアップした動画はテイク2でありまして、テイク1の方はちょっと上手くいかなかったので、撮り直しという事になりました。一応、この動画をアップする際は、タッサポーン自身に許可をもらっています。

宿からバーン・トーンヂャンがあるバーンノーングンまでは10~15分くらいだったでしょうか。到着して朝食をご馳走になっていると、まもなくタムブンするものを運び出す作業が始まりました。

沢山のものを皆で手際よく運び出します。しかし、枕がやたら沢山あるのは何故なんでしょうね。







◆カムグン・トーンヂャン先生の写真を持つサーティット・トーンヂャン




この日のセレモニーの意味は、実は僕もはっきり掴めていないのですが、カムグン先生に音楽を教わった歌手達が、その感謝をタムブンという形で恩返しするという事ではないのかと思います。

荷物を一通り運び出した一行は、その後は皆でお寺まで大行進となりました。

音楽一門のタムブンですので、当然ただ歩くだけではなく、ケーンをバックにサーティット・トーンヂャンとメーン・マニーワンが歌い、それにあわせて踊りながら移動するという、普段のコンサートでは味わえないスペシャルな空間が展開されていました。

しかし、写真や動画を見直してみると、みんな本当に楽しそうな笑顔をしていて、しんみりした雰囲気は微塵もありません。いかにもタイらしい光景でした。


◆バーン・トーンヂャンからお寺までの移動の様子



バーン・トーンヂャンから近くのお寺「ワット・サゲーオ(วัดสระแก้ว)」までは、普通に歩けば5分もかからない距離なのですが、そこを歌い踊りながらの移動だったので、15~20分くらいかけての移動でした。

到着すると、今度はタムブンの品を手際良く運び入れます。普段はのんびりしているタイ人ですが、こういう時の仕事の早さは見事です。







◆あのでっかい銅鑼も運び入れました。






タムブンの品を運び入れ終わりますと、僧侶の方々のありがたい説法と皆でお経を唱えます。

このお経(結構長い)はタイ語ではなくパーリ語をそのまま読み上げているのですが、みんな何も見ずにスラスラ言えるのですから大したものです。さすが仏教国タイ。







そして最後に、サーティット・トーンヂャンが立ち上がり、少し話をした後、モーラムを歌い始めました。

ステージで歌われるいわば「商品」としてのモーラムとは違い、生活に密着した、民俗音楽としてのモーラムに初めて触れることの出来た初めての瞬間でした。




◆サーティット・トーンヂャンによるモーラム



◆タムブンされた品々





◆サーティット・トーンヂャンとゴン・フアイライのプロデューサー、ゴップさん。ゴップさんもバーン・トーンヂャンと縁の深い人です。


セレモニーが終わった後は、皆、三々五々解散していきました。

自分もタッサポーンと一緒にだらだらとバーン・トーンヂャンに戻り、少し食事をご馳走になった後、バーン・トーンヂャンを後にしました。

ここに来る前までバーン・トーンヂャンという所は、「タッサポーンが歌を勉強した場所」くらいの認識しかなかったのですが、イサーン音楽の歴史において重要なポジションにいるサーティット・トーンヂャン、今やトップ歌手となったメーン・マニーワン、そしてタイの音楽界を席巻ゴン・フアイライを発掘したゴップさん、とルークトゥン・モーラム界に於けるトップ歌手を何人も輩出して来た名門である事を、この旅で初めて知りました。

そして、一門において大切なセレモニーに参加することが出来たのは、ルークトゥン・モーラムの一ファンとしては、とても貴重な経験となりました。

2016年10月27日木曜日

【ディープ・イサーン・ツアー#1】タッサポーン・トーンヂャンの故郷を訪ねて@ローイエット(1)

◆タッサポーン・トーンヂャン@バーン・トーンヂャン(ローイエット県セーラプーム郡)


10月20~23日の4日間でイサーンに行ってきました。

プミポン国王の崩御から1週間後という微妙な時期でしたが、もともとこの旅行は3ヶ月前から計画していたものでした。

本当は4日間の内3日はコンサートを観に行くつもりでしたが、先の国王崩御でタイ全土のコンサートはすべてキャンセルとなってしまいました。

コンサートが無いならイサーンへ行くのも止めようかと思いましたが、ずっとバンコクに居るのも息苦しいので、気分転換も兼ねてイサーン行きは予定通り実行することにしました。

この時期にイサーンへ行く計画を立てていた理由は、元々10月21日にタッサポーン・トーンヂャンが出るコンサートがローイエットで行われる予定だったからです。


◆10月21日に開催されるはずだったバーン・トーンヂャン主催のコンサート


当然、このコンサートも中止になりました。

自分は事前にこのコンサートに行くことをタッサポーンに知らせていた事もあって、直前に本人からも中止の連絡が来ました。

その時、タッサポーンに21日はどうしているのか聞いたところ、ローイエットに帰るという事でしたので、それならばローイエットでタッサポーンに会えればと思い、本人とも約束をして現地で会うことになりました。

実はちょうど1年前の2015年10月に、ローイエットでゴン・フアイライのコンサートを観に行った時、タッサポーンから「今度は私の生まれ故郷に来てね」と言われていたので、今回のイサーン行きはその約束を果たす為の旅行でもありました(本人は覚えてないでしょうがw)。


◆2015年10月12日、ローイエットのマイタイ・ホテル前にて。両サイドはタッサポーンの仲の良い友達。


タッサポーンが出身地は、ローイエットの中心部から東に位置するセーラプーム郡という所にあります。中心部から車で行くと30~40分ほどで到着する場所です(ローカルバスだと1時間ちょっと)。

セーラプームはヤソートンとの県境に接していて、かなり大きな面積になっています。

街中は大きなスーパーマーケットなどもあって、そこそこ賑やかなのですが、タッサポーンの実家があるバーンノーングンという村はは、街中からかなり奥に入って行った場所にありました(予定されていたコンサート会場もすぐ近くでした)。


◆セーラプーム郡の位置。



タッサポーンとは21日の昼にセーラプームの街中で待ち合わせました。その後、彼女の運転する車に乗せてもらい、到着したのはバーンノーングンにある彼女が歌を学んだバーン・トーンヂャンでした。

◆バーン・トーンヂャン(บ้านทองจันทร์)



バーン・トーンヂャンはモーラム歌手のカムグン・トーンヂャンの事務所で、それだけでなく歌を教える教室も兼ねていたようです。

◆カムグン・トーンヂャン(คำเกิ่ง ทองจันทร์)

◆カムグン先生とタッサポーン


◆バーン・トーンヂャンに飾られていた若かりし頃のカムグン先生の写真


◆ลำกลอน(ラムグローン)/อ.คำเกิ่ง ทองจันทร์(カムグン・トーンヂャン)


ここで歌を学んだ歌手は、タッサポーンをはじめ、ルークトゥン・モーラムの歴史に於いても重要な歌手であるサーティット・トーンヂャン、そして現在はトップ歌手となったメーン・マニーワンもカムグーン・トーンヂャン先生に学んだようです。

また、過去のバーン・トーンヂャンの映像を見ると、エー&オー・ポッチャナーもこのバーン・トーンヂャンと関わりが深いようです。


◆サーティット・トーンヂャン(สาธิต ทองจันทร์)


◆サーティット・トーンヂャンとタッサポーン、バーン・トーンヂャンのスタッフの面々


◆タッサポーンとメーン・マニーワン


21日に行われるはずだったコンサートは、このバーン・トーンヂャンに縁の深い歌手達が集まっての、カムグーン先生を追悼する意味合いもあったようですが、それが中止になってしまった事は本当に残念です。

しかし、翌22日の近くのお寺へのタムブンは予定通り行われるようで、この日はその準備を朝からしていたようです。

自分が到着したのは夕方近かったので、準備の方はほぼ終わっていて、バーン・トーンヂャンの庭では皆で食事をしたりお酒を飲んだりと、すっかりまったりしている状況でした。


◆お寺にお供えされたもの。僕もわずかながらタムブンしましたよ。




そんな訳で、この日は食事などをご馳走になって、小1時間ほどでタッサポーンに宿まで送ってもらいました。

翌日は8時過ぎからバーン・トーンヂャンのスタッフ総出でセレモニーが始まったのですが、非常に貴重な体験が出来ました。

その時の模様は次回お伝えします。