2016年12月31日土曜日

【ディスク・ライブラリー#15】ルークトゥン・プレーン・ヒット・ヘンピー2559・・・2016年をルークトゥンで振り返るMP3集

【Artist】รวมศิลปิน(Various Artist)

【Title】ลูกทุ่งเพลงฮิตแห่งปี2559(2016ルークトゥンヒット曲集)

【Release Date】17 พ.ย. 2559(2016年11月17日)




気がつけば2016年も終わりの日。1年が過ぎるのは早いものです。

今年も沢山のいい曲の出会えました。個人的なルークトゥン・モーラムのベスト10は、タイランドハイパーリンクスのコラムにアップさせてもらいました。

音楽天国タイランド「第30回 独断と偏見で選ぶ2016年ルークトゥン・モーラムの名曲10選」

毎年、年末になると各レコード会社からその年のヒット曲集がリリースされます。

Grammy Goldからは例年通り発売されましたが、R-Siamは盤面の製作をやめてしまったので、リリースされておりません。そんなんで良いんでしょうか?

Grammy Gold版はMP3とカラオケDVDという形態で発売されており、MP3は50曲入り、DVDは30曲入りという仕様になっています。

収録曲をざっと見てみると、Grammy Gold所属歌手だけでなく、Sure EntartainmentやChaophraya Records、そしてインディーズの歌手も含まれており、単にGrammy Goldのベスト集というだけでなく、2016年のルークトゥン・モーラムを俯瞰できる内容になっています。

ただ、全部が全部ヒットした曲という訳ではなく、実際にヒットした曲というのは少なく、その他はGrammy Goldから2016年にリリースされた曲の中から適当に選ばれているという感じで、決してルークトゥン・モーラムの最前線のドキュメントという訳ではありません。

収録曲の中で特に目を(耳を?)引くのは、やはりTr.2ゴン・フアイライ「サイ・ワー・シ・ボ・ティム・ガン」やTr.4アーム・チュティマー「アディート・クーイ・パン」といったインディーズの曲です。

YouTubeの再生回数で見てみると、これらのインディーズの曲はGrammy Goldからリリースされた曲を遥かに凌駕する再生回数を記録しています。今や時代は完全にインディーズだと言っても過言ではないほどです。


◆アーム・チュティマー/アディート・クーイ・パン@YESデパート前(2016年6月11日)



Grammy Gold所属以外の歌手で特に印象に残っているのは、Tr.10「グルアイ・クロンホイコーン/ヤーク・ミー・サーミー」です。

特に美人という訳ではないですが、独特のキャラと何より曲が良かったのが決めてでしたね。

オリジナル曲はまだ2曲しか作られていませんが、着実にヒットさせているので、3曲目も期待大です。


◆グルアイ・クロンホイコーン/ヤーク・ミー・サーミー@バンセーン・ビーチ(2016年4月16日)



グルアイと同じチャオプラヤー・レコーズ所属のバンド「PENTA」のTr.40「プート・トゥア・フェーン・マイ」も、個人的には気に入っています。

実力もあり、イサーンの空気がタップリ含まれた音楽を奏でる彼らは、他にはなかなかいないバンドではないでしょうか。

ただ、最近メインボーカルのボーイがソロ曲を発表したので、もしかしたらバンドでの活動は休止になってしまったのかもしれません。


◆PENTA/プート・トゥア・フェーン・マイ@Hug Concert 1(2016年7月24日)



また、Sureに戻って来たブンター・ムアンマイの曲Tr.15「ミー・コン・ローンハイ・ヤーム・アーイ・ゴート・カオ」は、このMP3を聴いて改めて彼女の魅力が分かった曲でもあります。

実は、ブンターに関しては以前から名前は知っていましたが、これっぽっちも興味がありませんでした。

なので、以前とどう変わったかは分かりませんが、彼女の哀愁を帯びた歌声は深く心に染み入りますね。


◆ブンター・ムアンマイ/ミー・コン・ローンハイ・ヤーム・アーイ・ゴート・カオ



肝心のGrammy Gold所属の歌手達ですが、意外に良かったのがインリーの2作目からの曲です(正確にあのアルバムは2015年のリリースなんですが)。

Tr.11「ヨーク・レーウ・バイバーイ」、Tr.31「フェーンマイ・ゴ・アオ、フェーンガオ・ゴ・ラック」、Tr.48「ムアライ・ヂャ・タム・ガップ・チャン・バーン」と3曲収録されていますが、あのアルバムはどうも興味が持てなくてスルーしていました。

しかし、しっかり音に向き合ってみると結構良い曲が揃っていますね。

最近はすっかりコンサートが無くなってしまったインリーですが、自分で曲を書ける才能もあり、最近は他の歌手にも曲を提供しているので、今後はその道でも活躍して行くのかもしれません。


◆インリー・シーヂュムポン/ムアライ・ヂャ・タム・ガップ・チャン・バーン



それと、Tr.50「ピー・サドゥー/マオ・レーウ・レッ」は、彼の特別アルバムに収録されている曲ですが、これもこのMP3を聴いてそのカッコよさに改めて気がついた曲です。

ダンスメドレーをコンセプトにしたこのアルバム。ピーのコンサートをそのままパッケージした雰囲気もありそうです。こちらも今まで買わずにいたので、早いところ買っておかないとですね。


◆ピー・サドゥー/メドレー・ノンストップ from アルバム「ラブート・ティン」



あと、最近モーラムのコンサートを観に行くと良く歌われている曲があって、何というタイトルなのか探していたのですが、それがTr.45「タオ・プーシン/オーム・ゴート・ケームラート」という曲でした。

作詞・作曲:ボーイ・ケームラート、編曲:サワット・サーラカームという、例のインリーの大ヒット曲を担当した二人ですが、あの曲とはだいぶ雰囲気が違っていて、イサーンの空気を思い起こさせる雄大な曲調が個人的にも大好きです。


◆タオ・プーシン/オーム・ゴート・ケームラート



他にもマイク・ピロムポン、ターイ・オラタイ、パイ・ポンサトン、ソーン&ドークオー&ガーントーン、アンクワン・ワランヤーからGrammy Gold所属の若手歌手まで、主要歌手の曲は一通り収録されているので、ルークトゥン入門者のサンプラーとしてもおススメできます。

2017年のルークトゥン・モーラムシーンはどうなるか、今のところは分かりませんが、メジャーとインディーの境界線は今以上になくなっていくような気はします。

今後もインディーズで作られヒットした曲を大手が買取る、という状況がますます加速して行くのではないでしょうか。

つまり、最前線はインディーズにあるという事です。

このブログ的には、その辺りも伝えていければと思っていますが、記事の比重はモーラム楽団に関する内容が多くなってくると思います。

今までこのジャンルの日本への情報が手付かずだったという事もありますし、タイ音楽の醍醐味はそこにあるという意味も含めて、今よりもさらに深い部分を伝えていければと思います。

なかなか更新頻度が上がりませんが、2017年もお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

2016年12月29日木曜日

【モーラム万華鏡#7】3度目の正直!プラトム・バントゥンシン完全版。

◆ประถมบันเทิงศิลป์(プラトム・バントゥンシン)@กิ่งแก้ว ซอย17(ギンゲーウ・ソーイ17);4 ธ.ค. 2559(2016年12月4日)


ようやく目的を達成することができました!プラトム・バントゥンシン完全版。

そんな大それた事ではないんですが、自分にとってはここにたどり着くまでに紆余曲折があったので、喜びもひとしおです。

初めてプラトムを観たのは7月でした。その時は雨季という事もあり、簡略版のプラトム「ミニ」という仕様でした。

そして待ちに待った雨季明けの11月19日タラート・サマーポンでのコンサート。通常だったら雨の心配などする必要も無い時期に、まさかの土砂降り。中止にはならなかったものの、スタートが遅くなってしまったので、またもや簡略版仕様になってしまいました。

次、プラトムがいつバンコクに来てくれるのか・・・。と、やきもきしていた所、意外と早い段階の12月上旬に再びバンコクに来てくれる事が分かりました。

もう12月に入りましたし、さすがに雨の心配はする必要が無く、心置きなく本来のスタイルのプラトムを最後まで堪能できました。




◆แอน อรดี(エーン・オラディー)

◆左:เหมียว เอมอร(ミアウ・エーモン)、右:น้ำเพชร จันทร์เจ้า(ナムペット・ヂャンヂャオ)

◆ใหม่ พัชรี(マイ・パッチャリー)



初めて本来のスタイルで観るプラトム・バントゥンシンは豪華の一言。

再三言っているように、これだけ個性的な歌手が揃ったモーラム楽団というのも珍しいです。さすが「モーラムNo.1」と言われるだけあります。

主要楽団員はほとんどがソロとしてもやっていけそうなくらいの存在感のある人達で、中にはエーン・オラディーのように映画にも出演した歌手もいるくらい、世間的認知度も高いです。

そんな人達が次から次へと出てきて歌い、踊り、演じ、そして笑いもある、長時間も飽きさせない展開はコアなファンだけでなく、初めてモーラム楽団を見る人にもおススメできる、モーラム・コンサートの醍醐味が凝縮された舞台と言えます。。


◆プラトム・バントゥンシンの主宰サンティ・ブントム師



◆豪華な衣装のダンサー達


◆マイ・パッチャリー演じる、お下劣クレオパトラ



◆プラ・エークが歌っている後ろではミニ・コントが繰り広げられていました。

◆コラートのヒロイン・ヤーモーの話を演じる楽団員たち。



 ◆エーン・オラディーはアイドル並みの人気で、彼女が舞台に登場している時はチップを上げたり2ショットを撮ってもらおうとするファンが途切れませんでした。




◆スポンサーのママーの宣伝


 ◆お茶目なキャラのティムはいつものはじけるダンスで客席を盛り上げてくれます。

 ◆ライバルの2人のお決まりのポーズ




◆プラトム・バントゥンシン@ギンゲーウ・ソイ17 Part1(2016年12月4日)



◆プラトム・バントゥンシン@ギンゲーウ・ソイ17 Part2(2016年12月4日)



◆プラトム・バントゥンシン@ギンゲーウ・ソイ17 Part3(2016年12月4日)



8時頃から観始めたコンサートは気がつけば、あっという間の5時間(コンサート自体は7時頃から始まっているので、全部では約6時間の長丁場)。

普段、自分はこの手のコンサートは最後まで観ず、終わる直前に帰るようにしているのですが(最後まで観るとタクシー争奪戦になるので)、次の日は運良く仕事が休みだったので、この日は完全に終わるまで観ました(終わった後はやっぱりタクシー争奪戦になりましたがw)。

ようやく完全スタイルのプラトムを最後まで観る事が出来たのと、憧れのエーンちゃんからは映画のDVDにようやくサインをもらえたので、大満足の1日になりました。

なお、今後のプラトムのバンコク近郊コンサートの情報はFacebookページで随時お知らせしています。

2016年12月16日金曜日

【ディスク・ライブラリー#14】ペット・サハラット/マット・デット:豪華女性歌手5人と共演した、2016年最大の話題作にして最強アルバム

【Artist】เพชร สหรัตน์(ペット・サハラット)feat.บัวผัน ทังโส(ブアパン・タンソー)、แพรวพราว แสงทอง(プレーウプラーウ・セントーン)、เอม อภัสรา(エーム・アパサラー)、มดแดง จิราพร(モッデーン・ヂラーポン)、เนย วรัญญา(ヌーイ・ワランヤー)、บ๊อบบี้ วง3.50&หนุ่ม หนุมาน(ボビー3.50&ヌム・ハヌマーン)

【Title】หมัดเด็ด(マット・デット)

【Release Date】25 พ.ย. 2559(2016年11月25日)




ルークトゥンモーラムに限らず、タイ音楽の面白い部分の一つに、様々なコラボレーションが頻繁に行われる所にあると自分は思っています。

日本も以前ほどではないものの、やはりレコード会社の壁というのは今もあって、コスト面などからも所属の壁を越えての共演というのは、まだまだハードルが高いでしょう。

タイでもグラミー・ゴールドとR-Siamの歌手がレコーディングで共演するという事はありえませんが(コンサートなどではある)、日本に比べたら遥かにフットワークは軽いです。

そんな数あるコラボレーションの中でも、極めつけのアルバムが出ました。それがペット・サハラットの最新作「マット・デット」です。

このアルバムで共演しているのは皆トップライン所属の歌手なので、所属を越境しての共演という訳ではありませんが、何て言ったってメンツが凄いです。

このコラボレーションに関しては8月頃に「BIG FEAT PROJECT」と銘打った最初のアナウンスがありましたが、それを聞いた瞬間唸りましたね。

その時は、それがアルバムとして発売されるものなのかは分かりませんでしたが、色々あって10月31日という当初の予定より1ヶ月ほど遅れたものの、こうして無事CD・VCDという形でリリースされました。


◆BIG FEAT PROJECTの告知


それにしても、同じレコード会社の所属歌手だけでこれだけの顔ぶれが揃えられるのですから、トップラインは凄いです。

このメンツで期待するな、って言う方が無理でしょう。

そして、その期待にしっかりと応えてくれた最強のアルバムを、ペット・サハラットは作ってくれたと思います。

今、これほどの充実した音楽を作れるのは、タイのすべてのミュージシャンを見渡しても、彼くらいしかいないでしょう。




それでは、共演歌手ごとに収録曲を見ていきたいと思います。


【feat.ブアパン・タンソー】
2.สี่ดอก(シー・ドーク)
10.ไข่ฮ้างฮัง(カイ・ハーン・ハン)

ブアパンとペットは、既にペットのトップラインからの2枚目のアルバムに収録されている「カーロム(คารม)」で共演済みです。

そのせいもあって、どことなくリラックスした雰囲気も感じられる今回の2曲。

「シー・ドーク」はその「カーロム」を彷彿させる、アップテンポのノリの良い曲調になっています。

もう1曲の「カイ・ハーン・ハン」はスローの曲。ブアパンとペットの声のコントラストが、上手く活かされた曲になっていると思います。


◆เพชร สหรัตน์ feat.บัวผัน ทังโส/สี่ดอก



◆เพชร สหรัตน์ feat.บัวผัน ทังโส/ไข่ฮ้างฮัง



【feat.プレーウプラーウ・セントーン】
3.ปล่อยน้ำใส่นาน้อง(プローイ・ナム・サイ・ナー・ノーン)
11.ย้านเขาซังอ้าย(ヤーン・カオ・サン・アーイ)

「プローイ・ナム・サイ・ナー・ノーン」はこのプロジェクトから1番最初に世間に公開された曲です。

今やラムシン歌手として1番人気とも言える旬のプレーウプラーウと共演したこの曲は、今やコンサートに行けば必ずと言って良いほど歌われている大人気曲。

ペットはプレーウプラーウに「プア・パイ」という曲を書いているので、決して珍しくはありませんが、見事にはまった組み合わせです。

もう1曲の「ヤーン・カオ・サン・アーイ」は、ペットは歌っておらず、プレーウプラーウのソロ曲になっています。

ソロ曲を与えられているのは彼女だけで、そこからもプレーウプラーウは別格扱いなのが、うかがい知れます。


◆เพชร สหรัตน์ feat.แพรวพราว แสงทอง/ปล่อยน้ำใส่นาน้อง



◆เพชร สหรัตน์ feat.แพรวพราว แสงทอง/ย้านเขาซังอ้าย



【feat.エーム・アパサラー】
6.ครกขาดสาก(クロック・カート・サーク)
9.จับมือกันหย่าง(ヂャップ・ムー・ガン・ヤーン)

「永遠のエッベウ(日本語のぶりっ子に当たる言葉ですが、タイでも今や死語w)」で連想するのは、チンタラー・プーンラープですが、個人的にはエーム・アパサラーもチンタラーに負けず劣らず、まだまだエッベウという言葉が似合う人だと思っています。

そのエームとの競演曲もアップテンポとスローの曲の2曲になっています。

「クロック・カート・サーク」はモーラム系の曲では定番のリフが楽しい曲。もう1曲の「ヂャップ・ムー・ガン・ヤーン」は歌詞通り哀愁が漂う曲になっていて、どちらもエームのキュートさが良く出ている曲になっています。


◆เพชร สหรัตน์ feat.เอม อภัสรา/ครกขาดสาก



◆เพชร สหรัตน์ feat.เอม อภัสรา/จับมือกันหย่าง



【feat.モッデーン・ヂラーポン】
4.ล้างหอยคอยอ้าย(ラーン・ホイ・コーイ・アーイ)
8.คิดว่ายังโสด(キット・ワー・ヤン・ソート)

今まで有りそうで無かったペットとモッデーンの競演。確か、これが初めてのはずです。

しかし、ペットが作る曲とモッデーンのキャラは相性が良いと思うので、今回のこの競演がモッデーンのソロにも発展すれば、面白くなると思いますね。

この2曲でも、モッデーンは若手ながら見事にその大役を果たしていると思います。

「ラーン・ホイ・コーイ・アーイ」では明るい表情を、「キット・ワー・ヤン・ソート」は影のある表情を上手く演じ分けていて、モッデーンの表現力の幅広さがうかがえる曲になっています。


◆เพชร สหรัตน์ feat.มดแดง จิราพร/ล้างหอยคอยอ้าย



◆เพชร สหรัตน์ feat.มดแดง จิราพร/คิดว่ายังโสด



【feat.ヌーイ・ワランヤー】
5.แก้ให้น้องแหน่(ゲー・ハイ・ノーン・ネー)
7.อ้ายสิถ่าเด้อหล่าเอ้ย(アーイ・シ・ター・ドゥー・ラー・ウーイ)

この5人の中ではまだまだ名前が知られていないと思うヌーイ・ワランヤーですが、彼女はペットが育てている若手歌手の中のひとりです。

キャリア的にも他の4人と比べたら浅い方ですが、存在感全然負けていないと思いますね。

若手らしい可愛らしい部分を持ちつつも、力強い声が印象的なヌーイです。


◆เพชร สหรัตน์ feat.เนย วรัญญา/แก้ให้น้องแหน่



◆เพชร สหรัตน์ feat.เนย วรัญญา/อ้ายสิถ่าเด้อหล่าเอ้ย



【feat.ボビー3.50&ヌム・ハヌマーン】
12.หมาหวงก้าง(マー・フアン・ガーン)

5人の女性歌手たちとのコラボ以外に、ボーナス・トラック的に男性歌手2人との競演曲も収録されています。

ボビー3.50はバンド「3.50(サーム・バート・ハーシップ)」のメンバー。3.50はヂェス・スプックニックの大ヒット曲「ウェン・フォー・ロー・フィアオ」を仕掛けたバンドでもあります。

ボビーはペットの曲「チェン・サイ・ソーン」のMVにも出演しています。

ヌム・ハヌマーンはお聴きの通り、ポンシット・カムピーのモノマネ歌手ですが、彼は単純にモノマネだけでは括れないセンスを持ち合わせていますね。


◆เพชร สหรัตน์ feat.บ๊อบบี้ วง3.50&หนุ่ม หนุมาน/หมาหวงก้าง



【ペット・サハラット】
1.แตกใน(テーク・ナイ)
13.ปล่อยน้ำใส่นาน้อง(プローイ・ナム・サイ・ナー・ノーン):เวอร์ซั่น ผู้ชาย(Male Version)

最後にアルバムの冒頭とラストに収められているペットのソロ曲ですが、「テーク・ナイ」はこのアルバムの裏テーマを象徴するような曲です。

というのも、このアルバムは単純に女性歌手とのコラボレーションというコンセプトだけでなく、もう一つのテーマがあるからです。

それは「男女の交わり」。「テーク・ナイ」とはタイ語で「中○し」を意味します。

またTr.3「プローイ・ナム・サイ・ナー・ノーン」は、直訳すると「あの娘の畑を水浸し」となりますし、Tr.4で連発されている「ホイ」という言葉は、一般的には「貝」という意味ですが、俗語では女性器も意味しています(歌詞も当然その意味で使われています)。

アルバムタイトル「マット・デット」も、一般的にはボクシングのチャンピオンなどに使われる、拳闘などが強いという意味ですが、ここでは「絶倫」という意味も含んでいると思います。

そういった裏テーマも知っておくと、このアルバムがさらに楽しめるのではないでしょうか。

またTr.13はプレーウプラーウとの競演曲の男性ソロヴァージョン。

ロック仕様にアレンジされていて、オリジナルに負けず劣らずのカッコよさです。


◆เพชร สหรัตน์/แตกใน



◆เพชร สหรัตน์/ปล่อยน้ำใส่นาน้อง



全収録曲見てきましたが、曲のヴァリエーションも豊富で、トータル性も高い、タイ音楽としては屈指のクオリティーを持つアルバムが完成したと思います。

このアルバムがあれば、しばらくは他のCDを聴かなくても良いほど(実際には無理なんだけど)の充実した作品になりました。

2016年12月13日火曜日

【モーラム万華鏡#6】ラビアップ・ワータシン:独特のセンスと根強いファンをもつ人気楽団

◆ระเบียบวาทะศิลป์(ラビアップ・ワータシン)@ตลาดปัฐวิกรณ์(パッタウィゴン・マーケット);2 ธ.ค. 2559(2016年12月2日)


冒頭からいきなり宣伝で恐縮ですが、タイランドハイパーリンクスに連載しているコラムを更新しました。

今回のテーマは「モーラム楽団」。自分もまだまだ入門したてのこのジャンルですが、日本ではまったく紹介されていないので、1度概要をまとめておきたいと思い、取り上げました。

◆音楽天国タイランド第29回「モーラム楽団のススメ:タイ音楽の魅力が120%詰まった極上エンタテインメント」⇒http://www.thaich.net/ongakutengoku/onten29.htm

そのコラムの中でもモーラムの4大楽団として取り上げたラビアップ・ワータシンを、10月2日ナワミンのパッタウィゴン・マーケットに観に行って来ました。

ラビアップを観たのはこれが初めてではありませんでした。

最初は今年1月に開催された「ムアン・モーラム」で。その次は7月にモッデーンがラビアップのコンサートにゲスト出演したことがあったので、それを観に行った時でした。

◆「ムアン・モーラム」@タイ文化センター(2016年1月10日)


ただ、いづれの時もまだモーラム楽団に興味が向いていない時だったので、それほど強い印象は残っていませんでした。

そんな、気持ちのし切り直し的な意味合いもあった今回のコンサート観覧だったのですが、意識が変わるとこうも見え方が違うのかと感じた、自分としては目からうろこのコンサートでした。

まず、ビックリしたのが観客の多さです。

モーラムのコンサートは大体満員になるものではありますが、この日の超満員状態にはちょっと驚きましたね。

当日はラムカムヘン通りの渋滞にハマって、21時半近くなってしまったのですが、ほとんどのコンサートでもこのくらいの時間では7~8分の入りという感じです。

しかし、この日はすでにこの時点で超満員。舞台前に移動するのも大変でした(帰りはもっと大変だった)。

ラビアップのステージで特に強く印象に残ったのが、アイドルばりのルックスの男性歌手陣です。

たぶん韓国のアイドルグループを意識しているのだと思いますが、こういうモダンな感じを前面に押し出しているモーラム楽団はラビアップぐらいではないでしょうか。











もちろん楽団の華、女性歌手陣も充実しています。

特に目を引いたのが、女優プレーウ・チューマウィーに似ている歌手。ファンからも1番人気と言えるほどの、チップや2ショット攻めにあっていました。

ベテラン歌手勢も素晴らしいですし、この点でもラビアップが数あるモーラム楽団の中で、特に根強いファンをもっている事の理由が分かりました。










そして、ダンサー達も魅せてくれます。

クオリティーの高い踊りと華麗な衣装、見事な連携の振りは数あるモーラム楽団のダンサーの中でも、特にレベルの高い部類に入ると思います。








で、肝心の音楽ですが、これも文句なしです。

バンドのテクニックも抜群ですし、歌手達も実力派揃いです。さすが4大モーラム楽団のひとつと言われるだけあります。

そして、選曲も今人気の曲や定番曲に加えて、フォン・ラッダーワンの「チュワン・アーイ・マー・バーイ・シー(ชวนอ้ายมาบายศรี)」など、この楽団だけが取り上げている曲もあったりする所に独自のセンスが感じられます。

それにしても、ペット・サハラットfeat.プレーウプラーウの曲「プローイ・ナム・サイ・ナー・ノーン(ปล่อยน้ำใส่นาน้อง)」の人気はすさまじいです。

今やどのコンサートでも歌われている曲ですが、イントロが流れただけで歓声が上がるのはこの曲くらいなものです。もちろん、客席はダンスフロアと化します。


◆ラビアップ・ワータシン@パッタウィゴン・マーケット-1(2016年12月2日)



◆ラビアップ・ワータシン@パッタウィゴン・マーケット-2(2016年12月2日)



◆ラビアップ・ワータシン@パッタウィゴン・マーケット-3(2016年12月2日)



今回、出足が遅れてしまったため、最初から観られなかったのは残念でしたが、この楽団の魅力の一片は分かったような気がします。

ただ、モーラム楽団の場合はスケールが大きいので、1回コンサートを観ただけでは分からない部分が沢山あります。

その辺は、今後回数を重ねて、その魅力を紐解いていきたいと思っています。