2016年10月12日水曜日

【モーラム万華鏡#2】ラッタナシン・インタータイラート:タイを代表するモーラム楽団がいち早くバンコクで公演!

◆รัตนศิลป์ อินตาไทยราษฎร์(ラッタナシン・インタータイラート)


雨期が明けそうで、すっきり明けきらない10月初めのタイ。

まだ時々まとまった雨が降ったりするのですが、その割合も徐々に減ってきているので、まもなく乾期に入るかもしれません。

毎年この時期になると、一斉に動き出すのがモーラム・ラムシン楽団。今年も9月の終わり頃から続々と楽団開きが行われています。

彼らの拠点はイサーンなので、まずはイサーン各地を順次回って、その後バンコクに来るというスケジュールの楽団がほとんどなのですが、そんな中、いち早くバンコクにやって来てくれたのがラッタナシン・インタータイラートです。







ラッタナシンは4大モーラム楽団の一つに数えられる、タイを代表するモーラム楽団と言っても過言ではありません(他はプラトム・バントゥンシン、シラピン・プータイ、ラビアップ・ワータシン。人によって違うかも知れませんが)。拠点はコーンケーン。

自分にとっては初めて観たモーラム楽団がこのラッタナシンだったので、そんな意味でも思い入れの深い楽団と言えます。

そのラッタナシンの今期最初のバンコク・ツアーは、10月7日のパッタウィゴン市場を皮切りに、9日のサムローンまで3日間連続で行われました(パタヤも含めると4日間)。

その内、自分は10月9日のワット・ダーン・サムローン通り中間での公演を観に行って来ました。

この日は直前に降った雨で足元がかなり悪かったにも関わらず、会場には大勢の人が詰めかけ、終盤は泥だらけになりながら、皆で踊りまくっていました。

大体、バンコクでのこの手のモーラムコンサートは8時頃から前座的なものが始まり、9時頃からメインステージが始まるのですが、この日はメインの始まるが若干遅く、10時前後から始まりました。







◆ラッタナシン・インタータイラート@グラーンソーイ・ワットダーン・サムローン-1(2016年10月9日)



ラッタナシンの特徴は、と聞かれたら、パッと一言で言えるほど自分もその魅力を理解しきっていないのですが、強いて言えば、モーラム・コンサートの醍醐味が凝縮された至極のステージを見せてくれる楽団、といった感じでしょうか。

この楽団の場合、プラトムのような際立ったキャラクターを持った歌手というのは少ないのですが、250人いるという歌手・ダンサー陣が一丸で築き上げた、美しく壮大なステージは圧巻の一言です。








◆ラッタナシン・インタータイラート@グラーンソーイ・ワットダーン・サムローン-2(2016年10月9日)


また、今回自分が観ていて思ったのは、ラッタナシンは男性演者が充実している楽団だという事です。

結構イケメンの男性陣が揃っていて、ファンもどちらかというと彼らを目当てに来ている人が多いように思いました。

もちろん女性陣にも魅力的な歌手はいます。ただ、あまりガツガツ出てこないタイプの人が多いようですので、その魅力が充分分かるにはもう少し時間がかかりそうですが。





◆ラッタナシン・インタータイラート@グラーンソーイ・ワットダーン・サムローン-3(2016年10月9日)



◆ラッタナシン・インタータイラート@グラーンソーイ・ワットダーン・サムローン-4(2016年10月9日)



それと、フリークがいるのもこの楽団の特徴です。日本では見られなくなったフリークはまだタイではエンタテインメントの重要な要素の一つなのですが、タイでもこういったフリークを取り入れている楽団は少なくなりましたので、そういった意味でもこのラッタナシンは貴重な楽団です。




◆ラッタナシン・インタータイラート@グラーンソーイ・ワットダーン・サムローン-5(2016年10月9日)


日本人がモーラム楽団の良さを理解するのは、名前が知られた歌手がいるわけでもないので、一見難しいものだと思われているかも知れませんが、この手のコンサートを楽しむには理屈なんてものは必要ありません。

必要なのは一つだけ。それは、楽しむ事が出来る「センス」だけです。

中には「モーラムは奥が深いので、あえて入り込まないようにしている」などと間抜けな事を言っている人もいますが、そんな屁理屈は全く持って愚の骨頂です。

入り込んでもいないのに奥が深いなんて事は分かる筈もありませんし、じゃあルークトゥンは奥が深くないのかと言ったら、そんな事はありません。むしろモーラムよりも遥かに奥が深く、幅の広い音楽です。

そもそも、日本人でルークトゥンを余すことなく全て説明出来る人などいません。未だにルークトゥンの重要な要素であるレーとリケーの区別すら明確に説明できないレベルで、ルークトゥンの何が分かっていて、モーラムの方が奥が深いと言っているのでしょうか。

ルークトゥンも全て調べきり、モーラムの歴史やスタイルを全部調べて、比べた結果、モーラムの方が奥が深かったというのなら分かりますが、それすらもせず、漠然と「奥が深そう」と言っているのは、単に自分がモーラムを理解するセンスがない事を遠まわしに言っているだけに過ぎません。

好きだったら、理屈などは二の次で自然と体が動くはずです。言葉も分からないし、モーラムの歴史やスタイルの事など全然知らないけど、楽しくて体が動いてしまうから聴いている。それで充分
です。

はっきり言って、自分も沢山あるモーラム楽団を全部把握しきっている訳ではありませんし、モーラム・コンサートの魅力を理解しきっている訳ではありません。

では、何故モーラムのコンサートを観に行くのか。その理由はただ一つ。「楽しいから」だけです。

日本では今まで全く紹介されていなかったこのジャンルですので(紹介できるセンスを持っている人がいなかったとも言えます)、色々な細かい事を調べるには時間がかかると思います。

しかし、日本にもいる、モーラムを楽しいと思える「良いセンス」を持った、数少ないタイ音楽ファンの為に、少しずつでもその魅力を伝えていければと思っています。

2016年10月8日土曜日

【リリース情報】シリポーン・アムパイポン17枚目のオリジナル・アルバムが10月発売

◆ศิริพร อำไพพงษ์(シリポーン・アムパイポン)


日本に彼女のファンがどれくらいいるのか分かりませんが、シリポーン・アムパイポンの(グラミー・ゴールドからの)17枚目のオリジナルアルバムが近々発売される予定です。

前作のVol.16「パリンヤー・ヂェップ」が発売されたのが2015年5月ですから1年半ぶりの新作となりますが、苦戦を強いられているルークトゥンモーラムのCD販売において、コンスタントにアルバムをリリースできる歌手はシリポーンを含めても、他数人しかいないでしょう。

Vol.15「フア・ナー・ゲーン・サオ・スア・ダム(黒服のレディース・リーダー)」(2013年10月発売)がかなりインパクトがある作品だったので、Vol.16は地味な印象がありましたが、その中から「ミア・ボ・ダイ・テン(結婚できない妻)」が女性ファンの心を捕えてスマッシュヒットしました。


◆ศิริพร อำไพพงษ์(シリポーン・アムパイポン)/หัวหน้าแก๊งสาวเสื้อดำ(フア・ナー・ゲーン・サオ・スア・ダム)


◆ศิริพร อำไพพงษ์(シリポーン・アムパイポン)/เมียบ่ได้แต่ง(ミア・ボ・ダイ・テン)



そして、新作になるVol.17のタイトルは「コン・チャイ、グート・チャー(คนใช่ เกิดช้า)」。

先日、その新作からの曲のMV撮影の様子が、Grammy GoldのYouTubeオフィシャル・チャンネルで公開されました。

その動画を見ると、今回はVol.15「フア・ナー・・・」のような結構派手な路線になりそうな気がします。


【Scoop Clip】シリポーン・アムパイポン、Vol.17「コン・チャイ、グート・チャー」MV撮影風景の裏側


先日取り上げた、チンチャー・サワンで優勝したポピーもシリポーンへの敬愛をあらわにしているように、ルークトゥン・モーラムにおいて彼女の影響力はまだまだ強いものがあります。

そして、大ベテランの域に達してはいるものの、まだまだ落ち着くには早すぎると思います。

Bodyslamとの共演の時のように、また世間をあっと驚かせるような事をして、4度目のブレークを期待したいものです。

ニューアルバムの発売は10月27日の予定です。

2016年10月6日木曜日

【魅惑のラムシン・ワールド#5】ブアパン&ボーム&ソット:これぞラムシンの真骨頂!人気曲連発で観客大熱狂

◆บัวผัน ทังโส(ブアパン・タンソー)&บอม ธนัฐชัย(ボーム・タナッチャイ)&สด นำชัย(ソット・ナムチャイ)


ブアパンの底力を思い知らされた日でした。

10月1日、久しぶりに観に来たブアパン&ボーム、そして、最近新しく加わったソット・ナムチャイのコンサート@プラプラデーン・アーケード。

本当はこの日、新しく立ち上げたモッデーン・ヂラーポンの楽団「ヂラーポン・ウィセートシン」を観に行くはずだったのに、直前でまさかのバンコク公演全キャンセル。

すっかりテンションも落ちて、ある意味仕方なしに来たこのコンサートでしたが、そんなことを思い出させてくれる隙を一切与えてくれないほどの圧倒的なステージに打ちのめされました。

この日はまだ雨季が完全に明けきっていない時でしたので、楽団も完全版ではなく、いわば縮小版でしたが、シンプルなステージゆえ、彼らの実力がダイレクトに伝わってくるものでした。


◆บัวผัน ทังโส(ブアパン・タンソー)



◆บอม ธนัฐชัย(ボーム・タナッチャイ)





◆บัวผัน ทังโส(ブアパン・タンソー)/เบอร์น้องเลข4(バー・ノーン・レーク4)@プラプラデーン・アーケード-1(2016年10月1日)



圧巻だったのはラムシン・コンサートの定番人気曲のメドレーです。

1.ชมรมคนผัวเผลอ(チョム・ロム・プア・プルー) Original:สาวมาดเมกะแดนซ์(サーオ・マート・メガデーン)

2.สาวเลยยังรอ(サーオ・ルーイ・ヤン・ロー) Original:ใหม่ แว่นทิพย์(マイ・ウェンティップ)

3.เทิ้งใหญ่เทิ้งยาว(トゥン・ヤイ・トゥン・ヤーオ) Original:ดาหลา ธัญญาพร (ダーラー・タンヤーポン)

4.ผัวไผ(プア・パイ) Original:แพรวพราว แสงทอง(プレーウプラーウ・セーントーン)

5.ผู้บ่าวขาดแคลนแฟนเขาก็ได้(プー・バオ・カート・クレーン・フェーン・カオ・ゴ・ダイ) Original:เอม อภัสรา(エーム・アパサラー)


これらの曲は何回もラムシンのコンサートに行っていれば、毎度毎度聴くので充分飽きが来ている定番中の定番なんですが、ブアパンの存在感、そして何と言ってもバンドの極上の演奏で思いっきり引き込まれてしまいました。

このバンド、僕が知っているラムシン系のバンドの中では最高レベルではないかと思えるほどの、見事な演奏を聴かせてくれました。


◆บัวผัน ทังโส(ブアパン・タンソー)/เมดเล่ย์ลำซิ่ง(メドレー・ラムシン)@プラプラデーン・アーケード-3(2016年10月1日)



それと、ソット・ナムチャイが加わってから、彼らのステージにも若干の変化が出てきたような気がします。

というのも、ソットはそれなりにキャリアがありますし、何と言ってもボームが出来ない事が出来るというのは大きいと思います。

それが如実に現れているのが、ラムシン・コンサートで良く見られる男性歌手と女性歌手が絡み合う踊りをやるようになった事です。あれはボームだけの時はやっていませんでした(つまりボームは出来ないという事)。

ボームは若いという事もありますが、ポテンシャルから言ってもやはりソットの方が上だと思いますね。

そして何よりも、若い男2人を両手にはべらせて、嬉しそうなブアパンが特に印象的でした。


◆สด นำชัย(ソット・ナムチャイ)





◆บัวผัน-สด(ブアパン&ソット)@プラプラデーン・アーケード-4(2016年10月1日)



歌の面から言ってもソットの方が実力的には上でしょうか。

それは、以前何度か見た彼のステージからも充分分かっていましたが、例えばこの日歌ったソムヂット・ボートーンの名曲「グラープ・デーン(赤い薔薇)」を聴いてみても、非常に丁寧な歌い方で、変なはずし方もせず、さらにアドリブを入れたりするなど、テクニック的にも申し分ありません。

もちろんボームにも良い所はありますが、モーラム的な視点で言えば若干物足りない部分があるのも事実です。


◆สด นำชัย(ソット・ナムチャイ)/กุหลาบแดง(グラープ・デーン)@プラプラデーン・アーケード-2(2016年10月1日)


乾季に入ると本格的に完全仕様での活動が始まるブアパン&ボーム&ソット。

彼らの楽団開きは、10月9日ウボンラーチャターニーで行われます。




2016年10月4日火曜日

【別冊ラムヤイ】誕生日記念!コラボ曲のMV公開&アムステルダム・コンサートの様子

◆ZEED feat. ลำไย ไหทองคำ(ラムヤイ・ハイトーンカム)


10月3日はラムヤイ・ハイトーンカムの誕生日でした。今年(2016年)で18歳になります。

それとは直接関係ありませんが、先日このブログでラムヤイを取り上げた時にも触れた、ラムヤイがフューチャーされたバンド「ZEED」の新曲のMVが、10月1日YouTubeで公開されました。

このMVの撮影は9月20、21日スラータニーで行われました。

何でスラーなの?と思っていたんですけど、それはZEEDが南部のバンドだったからなんですね。前回ブログを書く時には分かっていませんでした。

そう考えると、南部のZEEDとイサーンのラムヤイの組み合わせはなかなかユニークですね。

南部では言葉の問題もあるでしょうから、イサーンの歌はほとんど聴かれていないと思います。たまに、イサーンの歌手が南部でコンサートをしていたりしますが。

ただ、この曲でラムヤイが歌うパートの歌詞はガッツリイサーン語なので、世間の反応はどうなのか。すごく興味がありますね。


◆ZEED feat. ลำไย ไหทองคำ(ラムヤイ・ハイトーンカム)/หรือจะเอา(ルー・ヂャ・アオ)



この曲を聴いて連想するのは、やっぱりFLAME feat.ヌット・ウィラーワンの大ヒット曲「OK パッ」ですが、この曲も果たしてあの曲のようにヒットするでしょうか。出来ればそうなってほしいですが。

惜しいのはラムヤイの歌うパートはあまり多くないこと。ファンとしてはもうちょっとガッツリバンドとの絡みがあってほしかったのですが。

とは言え、メロディーはキャッチーですから、一般受けする可能性は充分にあると思います。

それに、ラムヤイにとってはこうしたしっかりとしたMVが作られるのはこれが初めてなので、たとえ他人とのコラボ曲とは言え、ファンにとってはこれはこれで嬉しいことです。

また、こちらも先日のブログでもお伝えした事ですが、現在ラムヤイはオランダのアムステルダムに行っています。

当初、聞いていたのはオランダとイギリスを回るとの事でしたが、結局はオランダのみになったようです。


◆9月29日、出発前のスワンナプーム空港にて。




スケジュールは9月29日~10月5日で、アムステルダムで10月1・2日のコンサートに出演予定です。

共演はなんとマイタイ・フアヂャイシンと!帰国後の10月7日にはパイ・ポンサトンとのコンサートも予定されており、ビッグネームとの共演が続きます。

ただ、ルークトゥン・モーラムのコンサートでの共演というのは、いわば映画の2本立てのようなもので、ステージで一緒に歌うという事はほとんどありません。

しかし、それをキッカケに何かのつながりが生まれることもありますし、ラムヤイを知らない人に顔を知ってもらう事にもなるので、大きなチャンスであることには違いありません。


◆アムステルダムでのコンサート告知とライブ&観光の様子






























この若さで海外に行く機会が与えられた事は、非常に大きいと思います。

そして、この経験を帰国後どう活かしていくのか、これからのラムヤイにも引き続き注目していきたいと思います。

この10月で、自分がラムヤイに初めて会ってからちょうど1年になります。