◆Toom Turn Molam Group@Studio Lam(29 Mar. 2017)
「モーラム」と一言で言っても、その定義は難しいです。
本来は「ラム(語り)の達人」という意味で、音楽のジャンルを指す言葉ではないのですが、今は一般的にジャンルをあらわす言葉になっていますし、ラムが無くてもモーラムといったりしますし、タイ人はモーラム楽団の事を簡単に「モーラム」と言っていたりするので、外国人の我々にはどこからどこまでがモーラムなのか、非常に分かり難くなっている状態です。
モーラムで重要なのは「語り」の部分であると自分は思っています。ただ、モーラムを形成する上で語りと同じくらいに重要なのが、ケーンとピンという楽器です。「語り」を抜いてもケーンとピンが入っていれば、それもモーラムとする考え方もあります。例えばThe Paradise Bangkok Molam International Bandなどがそうです。
その考え方を受け継いだグループがまた新たに出て来ました。それが先日ライブを観て来たToom Turn Molam Groupです。
彼らは基本的にイサーンの伝統楽器を主体に、ベース以外は出来るだけ電気楽器は使わない編成で、イサーンの伝統曲を演奏するグループです。
そこには語りを担当するモーラムはいませんが、音楽としての「モーラム」の真髄は間違いなくありました。
そして、単純に伝統的な演奏を再現するだけでなく、21世紀という時代を生きている人間のセンスが加わえて、また新しいモーラムを作り出そうとしているのが、このグループを注目すべきポイントだと言えるでしょう。
ライブ当日はタイ人と外国人半々くらいのお客が訪れ、マスコミの取材も受けるなどしていましたので、タイ国内でも注目している所はあるようです。
演奏は最初ぎこちなさは感じられたものの、時間が経つにつれメンバー同士の息も合ってきたようで、後半はかなり熱のこもった演奏で、観客も盛り上がり、最後は予定外のアンコールまで受けていました。
彼らはまだ20代を中心とした若いメンバーで構成されているようですので、これから様々な演奏経験を積み重ねていって、この先さらに進化したモーラムになる可能性は充分にあります。
そんな、伝統を踏まえつつも未来を感じさせるユニークなグループが誕生したと思います。
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