2017年4月15日土曜日

【モーラム実験室】伝統回帰的近未来モーラム・グループ:Toom Turn Molam Group

◆Toom Turn Molam Group@Studio Lam(29 Mar. 2017)

「モーラム」と一言で言っても、その定義は難しいです。

本来は「ラム(語り)の達人」という意味で、音楽のジャンルを指す言葉ではないのですが、今は一般的にジャンルをあらわす言葉になっていますし、ラムが無くてもモーラムといったりしますし、タイ人はモーラム楽団の事を簡単に「モーラム」と言っていたりするので、外国人の我々にはどこからどこまでがモーラムなのか、非常に分かり難くなっている状態です。

モーラムで重要なのは「語り」の部分であると自分は思っています。ただ、モーラムを形成する上で語りと同じくらいに重要なのが、ケーンとピンという楽器です。「語り」を抜いてもケーンとピンが入っていれば、それもモーラムとする考え方もあります。例えばThe Paradise Bangkok Molam International Bandなどがそうです。

その考え方を受け継いだグループがまた新たに出て来ました。それが先日ライブを観て来たToom Turn Molam Groupです。

彼らは基本的にイサーンの伝統楽器を主体に、ベース以外は出来るだけ電気楽器は使わない編成で、イサーンの伝統曲を演奏するグループです。


そこには語りを担当するモーラムはいませんが、音楽としての「モーラム」の真髄は間違いなくありました。

そして、単純に伝統的な演奏を再現するだけでなく、21世紀という時代を生きている人間のセンスが加わえて、また新しいモーラムを作り出そうとしているのが、このグループを注目すべきポイントだと言えるでしょう。







ライブ当日はタイ人と外国人半々くらいのお客が訪れ、マスコミの取材も受けるなどしていましたので、タイ国内でも注目している所はあるようです。

演奏は最初ぎこちなさは感じられたものの、時間が経つにつれメンバー同士の息も合ってきたようで、後半はかなり熱のこもった演奏で、観客も盛り上がり、最後は予定外のアンコールまで受けていました。







彼らはまだ20代を中心とした若いメンバーで構成されているようですので、これから様々な演奏経験を積み重ねていって、この先さらに進化したモーラムになる可能性は充分にあります。

そんな、伝統を踏まえつつも未来を感じさせるユニークなグループが誕生したと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿