そして、そこからタイの人々がどういう曲を好んでいるのかをうかがい知る事が出来ます。
ただそれは新しい曲ばかりではなく、何らかのキッカケでリバイバルした曲もあったりします。
最近のコンサートでは、自分にとっては聴きなれたある曲を耳にするようになりました。
それがこの曲です。
◆นาขวัญ แก้วสกล(ナークワン・ゲーウサコン)@マハーチャイ船着場(2016年6月15日)
歌っているのはゴン・フアイライと一緒に活動しているサコンナコン出身の女性歌手ナークワン・ゲーウサコンです。
この曲を聴いたのはこの時が初めてではなく、ラムヤイが歌っているのを聴いたり、前座で歌われているのを聴いていたのですが、最初この曲のタイトルを思い出すまで少し時間がかかりました。
で、この曲の元歌が何かというと、ルークトゥンではなくポップスの曲で、マーシャーが2005年にリリースしたアルバム「in love」に収録されている「MUSIC LOVER」という曲です。
◆Music Loverが収録されたアルバム「In Love」(2005年)
◆มาช่า วัฒนพานิช(マーシャー・ワッタナパーニット)/MUSIC LOVER
先のナークワンが歌っている動画を見て、すぐ何の曲か分かった人はかなり長年のタイ音楽ファンの方では?(笑)
元々、自分がタイ音楽にはまるキッカケになった歌手の1人がマーシャーだったので、この曲も良く聴いていたのですが、しかし、何故、この曲が今、さらにルークトゥンのステージで歌われているのか不思議に思ったので、自分なりにその理由を調べて見ました。
最初にこれでは?と思ったのが、あるドラマでカバーされていたヴァージョンでした。
一時はそのドラマがヒットしたので、そこから色んな歌手が歌いだしたのかと思いましたが、そのヴァージョンはアレンジから考えても、直接ルークトゥンのステージで歌われているヴァージョンとは結び付かない気がしました。
そこで、たまたま他の動画にリンクされていた曲を聴いて、もしやこれでは?と思ったのが、ある1人の若手女性歌手が歌っているカバー・ヴァージョンでした。
◆ปราง ปรางทิพย์(プラーン・プラーンティップ)/MUSIC LOVER(リハーサル)
こちらはラムヤイがカバーしたヴァージョン。プラーンのヴァージョンと聞き比べてみると、アレンジが良く似ています。
◆ラムヤイ・ハイトーンカム/Music Lover@ムアン・ボーラーン前(2016年7月4日)
この歌手の名前はプラーン・プラーンティップ。チェンライ出身の女性です。
自分はこの件を調べるまで、彼女の存在は全く知らなかったのですが、オーディション番組「The Voice」に出演したのが2014年でしたので、出て来たばかりの歌手という訳ではなさそうです。
◆ปราง ปรางทิพย์(プラーン・プラーンティップ)
彼女の特徴としては、単純にルークトゥンという枠に囚われない幅広い表現力の持ち主という所でしょうか。
それと、一般的なルークトゥン歌手とはかなり違うファッションセンスも目を引きます。ただ、ルークトゥンを歌っているもののプラーンを単純にルークトゥン歌手と捉える無理があるかもしれません。
◆ปราง(プラーン)vsต้าร์(ター)/Music Lover(from TV Program The Voice 26 Oct. 2014)
しかし、彼女の根底には確実にルークトゥンがあると思わせられるのが、プムプワンを敬愛しているという事。
これはルークトゥン歌手に限らない話ですが、プラーンの場合はSNSでの発言やプムプワンのカバー曲での歌方からも、伝説の歌姫に対する愛情は半端ではない事が感じられます。
◆ปราง ปรางทิพย์(プラーン・プラーンティップ)/สาวนาสั่งแฟน(サーオ・ナー・サン・フェーン)
◆ปราง ปรางทิพย์(プラーン・プラーンティップ)/หน้ายขันหมาก(マーイ・カン・マーク)
まだテクニック的には改善の余地があるとは思いますが、そんな事よりその歌手が自分で何をどう表現したいのか、という意思の方が重要です。
タイの音楽界はまだまだ旧態依然とした所が多分にありますが、しかし、パンクを通過した我々のような世代にとっては、上手い下手にいつまでの囚われているのは、石器時代レベルの古臭いセンス。
形式重視がルークトゥンの特徴なのかもしれませんが、それだけでは将来必ずシーンは腐っていきます。
そういった意味でも、プラーンは他のルークトゥン歌手とは全く違うセンスの持ち主でありますし、シーンに新しい血を注入して生き返らせてくれる、そんな存在になりえるかもしれません。
いずれにしても、自分にとっては歌を聴いて久しぶりに鳥肌が立つ、そんな存在に出会えました。
ちなみに、プラーンはオリジナル曲も出しています。曲的にはもう1歩という感じですが、途中コブシを使った歌い方も披露している、彼女のキャラクターを活かした曲とも言えます。
◆ปราง ปรางทิพย์(プラーン・プラーンティップ)/ลามู ลามู(ラームー・ラームー)
チェンライ出身ということもあって、北部を拠点にしている歌手なので、まだまだ中心部でのコンサートが少なく、自分も生のステージは観た事がありませんが、いずれ何らかの形で観に行ければと思っています。
とりあえずFBではつながったしwww
こんな風に元ネタをたどれるんなんて、すごいですね!
返信削除FBで紹介されていたナークワンバージョンがものすごく心地よくて気に入ってましたが、プラーン・プラーンティップのYouTubeリハーサル動画、本当に鳥肌が立ちました。なんとも自由な表現、あまりにも爽快で......
そしてThe Voice - 07 Sep 2014 のあの最後の展開......飲んでるせいか、笑顔で涙腺が緩みましたw
Yoshi Masuda(FB)
実は「何故、今、この曲がカバーされているのか?」という結論に関してはたどり着けなかったんですよね。ただ、自分的にはプラーンという歌手を知ったことで解決してしまったという(笑)。タイの音楽は日本に比べてカバー曲の比率が高く、その点でオリジナル重視の日本人にとっては面白くない部分なんですが、まだまだ日本人には知らない曲の方が多いので、元ネタを探るというのも、タイ音楽を楽しむ一つの方法だと思いますね。
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