◆อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)@COCO PUB Nawanakon(2016年7月29日)
今、タイで世間の人々の心を捉えたひとつの歌が、じわじわと人気を拡大しつつあります。
その歌のタイトルは「อดีตเคยพัง(アディート・クーイ・パン=悔やみが残る過去)」。歌っているのはアーム・チュティマーという女性歌手です。
女性歌手と言っても、彼女はまだ8月5日に17歳になったばかりの、ラオスにほど近いブンカン出身の女の子です。
この曲、単に17歳の女の子が歌っている、というだけではタイでは大して珍しくも何ともないのですが、この曲を作ったのが歌っているアーム本人という点では、これまでの他の人気曲とは訳が違います。
さらにアームはラムヤイ・ハイトーンカムと同じプロダクションのハイトーンカム・レコードというインデペンデントのプロダクションに所属しています。
17歳の女の子が作った、しかもインディーの曲が多くの人々の心を揺さぶる、というのはある意味ミラクルな出来事と言っても良いでしょう。
◆イサーンのラジオ局FM94の7月度月間チャートでは、グン・スパーポンの「シ・ヒ・ノーン・ボ」に続いて、アームの曲が2位になっています。この2曲は共にインディーの曲。
◆อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)/อดีตเคยพัง(アディート・クーイ・パン)
その人気ぶりは、彼女が登場したコンサートでも実感させられました。
現在、ラムヤイと行動を共にしている彼女は6月11日のバンプリーでのコンサートに登場するや否や、舞台前に握手を求める人々が殺到。さらに、合唱もおこるという事態になりました。
◆อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)/อดีตเคยพัง(アディート・クーイ・パン)@YESデパート、バンプリー(2016年6月11日)
◆2016年7月4日、ムアン・ボーラーン(Acient City)前でのコンサートにて。
さらに、その人気はラオスにも飛び火。まだタイでは自身の看板でコンサートを行ったことがないアームですが、7月には1・2・14.15日と計4回のラオスでのライブが行われました。
◆ラオスでのアーム。
この人気に火が点いた大きな要因は、やはりゴン・フアイライの時と同じように、インターネットが大きな役割を果たしているようです。
アームの曲もゴンの曲のように、素人がでYouTubeで自身が歌ったカヴァーを沢山アップしていました。
試しにอดีตเคยพังをコピペしYouTubeで検索してみると、素人が歌っているヴァージョンがごまんと出てくるはずです。
◆素人がカヴァーした一例。
また、同じ歌手仲間でもこの歌を歌う人が増えてきています。
タンヤーR-Siamは先日バンコクで行われた自身のライブで、この曲を歌っていました。
◆ธัญญ่า อาร์สยาม(タンヤーR-Siam)/อดีตเคยพัง(アディート・クーイ・パン)@ラビアン・イサーン(2016年6月18日)
歌詞の内容からしても、10代の女の子が作るようなタイプの曲ではありませんが、メロディーもとてもそんな若い子が作ったと思えないセンスで、彼女の才能には本当に脱帽です。
ちなみに先日、アームの2曲目がYouTubeで公開されました。こちらも「アディート・クーイ・パン」に負けず劣らず素晴らしい曲になっています。
もちろん、作詞・作曲はアーム本人です。
◆อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)/บ่ขวางทางอ้าย(ボ・クワーン・ターン・アーイ)
◆อาม ชุติมา(アーム・チュティマー)/อดีตเคยพัง(アディート・クーイ・パン)@COCO PUB(2016年7月29日)
同じヒットでも莫大な費用をかけている大手プロダクションの曲と、こうした費用をかけずに地道にプロモーションしているインデペンデントの曲とでは、その意味合いは全く違ってきます。
これからも、大手に頼らない形でこうした「良いヒット曲」が生まれてくるかもしれません。ゴンしかり、このアームしかり。
さらにそれが、大手をも巻き込んで状況を変えて行く。そういう時代のうねりに立ち会えるのも、タイの音楽と付き合っている上での大きな楽しみの一つでもあります。
そういった意味でも、こういったタイ音楽界の水面下での動きからは当分目が離せません。
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