◆เปาวลี พรพิมล(パオワリー・ポンピモン)
久しぶりにパオ(パオワリー・ポンピモン)のコンサートを観に行って来ました。
彼女とは6月13日にワット・タップグラダーンのプムプアン追悼コンサートであっていましたが、その時は4曲だけでしたので、1時間弱のステージをじっくり観るのは2015年11月23日、サムットサーコンのワット・ヂェーダラーム以来8ヶ月ぶりです。
ワット・タップグラダーンの時も感じたのですが、その時観たパオは去年まで観ていたステージ上でのパオとはだいぶ違う印象を受けました。
しかし、その時は時間的に短かったのでおぼろげでしかなかったのですが、今回はそれがようやく確信へと変わりましたね。
変わったポイントはいくつかあります。まずは1本筋の通った選曲がされていた事。
相変らず、カバー中心のオリジナル曲がほとんどない選曲なのですが(パオのオリジナルと言えるのは、オープニングの自己紹介曲くらい)、ニューアルバムも出たというともあり、カバーだけでも充分聴かせる内容になっていました。
それと、曲も古き良き時代のルークトゥンが主に選ばれていて、パオが今後この路線を突き詰めていこうとしている覚悟を感じさせる選曲になっていたと思います。プムプアンの曲も歌わなくなってしまったわけではありませんが、若干減ったのも変化の大きなポイントでしょうか。
それと、構成もかなりブラッシュアップされてきたようです。
オープニングの自己紹介曲からのプムプアンの「グラッセ・カオ・マー・シ(กระแซ๊ะเข้ามาซิ)」へと続くメドレーは鳥肌が立つほどのカッコよさです。
以前の「コン・バーン・ディアオ・ガン」を歌っていた時のように、時代とずれた選曲をしていた頃から比べたら、遥かに良くなりました。
◆パオワリー・ポンピモン@THAILAND INDUSTRY EXPO 2016-1(2016年7月29日)
ニューアルバム「プレーン・メー・チョープ(เพลงแม่ชอบ)」からは「プルンニー・チャン・ヂャ・ペン・サーオ」。こちらもプムプアンのカヴァー。
◆パオワリー・ポンピモン@THAILAND INDUSTRY EXPO 2016-2(2016年7月29日)
それと、アレンジもコンサート用にリアレンジされたものになっているのも、大きな特徴です。
3本目の動画の1曲目は「プレーン・メー・チョーップ Vol.2」に収録されている曲「ウォーン・ロム・ファーク・ラック(วอนลมฝากรัก)」ですが、インド風のアレンジが施されていて、CDとは雰囲気が全く変わっています。
◆パオワリー・ポンピモン@THAILAND INDUSTRY EXPO 2016-3(2016年7月29日)
もちろん、パオ自身も大きく成長したという点も変化の重要なポイントです。
以前からステージ上での佇まいは堂に入ったものでしたが、客をいじりながらのMCにも余裕が感じられますし、こちらも安心して見ていられるようになりました。
この日は自らステージを降りてのファンサービスもしていて、大スターでありながらも親近感を感じるのは、こういった気配りの細やかさから来るのかもしれません。
インリーの「コー・ヂャイ・ター・レーク・バー・トー」は、タイではすっかり飽きられていますが、シリポーン・ヴァージョンはまだまだ有効です。
◆パオワリー・ポンピモン@THAILAND INDUSTRY EXPO 2016-4(2016年7月29日)
最後は15分に及ぶオールド・ルークトゥンのメドレー。
これは以前、タカテーンがステージで使っていたアイデアをそのまま拝借したものですが、今はタカテーンの方はやらなくなってしまったので、これはこれで充分ありだと思いますし、パオもだいぶ様になってきたように思います。
そのメドレーのラストはやはりプムプアンの「コー・ハイ・ルアイ(あなたに富あれ)」。
この曲は自分がタイ音楽に触れた一番最初の曲ということもあり、こういう形で、しかもプムプアンの継承者のパオが歌うのを聴けるというのは、本当に涙がちょちょぎれる思いです。
◆パオワリー・ポンピモン@THAILAND INDUSTRY EXPO 2016-5(2016年7月29日)
会場に到着した時は人がまばらだったので、大丈夫かなと不安になりましたが、気が付いたら超満員になっていて、大盛り上がりでミニコンサートは終了しました。
かつて前川健一さんは名著「まとわりつくタイの音楽」の中で、「いずれイサーンの歌手が中心の時代が来るかもしれない」と書かれていました。
あの本が著されたのはプムプアンの死前後という事もあり、当時はまだ中部出身の歌手が主流でしたが、プムプアンの死後、時代が大きく変わり、現在は前川さんが書かれていた通りの状況になっています。
そんな時代に中部出身の歌手達は苦戦を強いられているのが現状で、イサーンの曲を省いて客のウケを取るのはかなり難しいです。
そういう状況の中でパオがオールド・ルークトゥンのカヴァーアルバムを出し、その時代の曲を中心にステージを組み立てるようになったのは、彼女がかつての古きよき時代のルークトゥンを継承していこうという覚悟が見えたように思えました。
パオをはじめとした中部出身の歌手にとっては、まだまだ厳しい時代が続くかもしれませんが、いずれまた、時代が一巡して、中部の時代が来るかもしれません。
それはパオやナンシー・トップラインのような、才能ある若手たちの活躍を見ていると、そう感じずにはいられません。
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